Google が業界初めて オークションによる TSO (Transferable Stock Option) を発表。従業員のストックオプションの流動化を促進するというニュース。 Google はサービスや製品だけでなく、人材に対する投資もかなり先進的です。

Google Blog:: About Transferable Stock Options

ITmedia:: Google、ストックオプションを「オークション販売」可能に
Nikkei ITPro:: Googleストック・オプションのオークション転売方式を導入へ
CNET Japan:: グーグル、オークションを導入したストックオプションプログラムを発表

通常ストックオプションは入社時やボーナスのタイミングでもらえるもので、『あらかじめ決められた権利行使価格で株を市場から購入する権利』が通常のタイプ。たとえば、現在のGoogle の株価が$460。権利行使価格が$500 のストックオプションをもらったとすると、入社後にがんばって会社の業績に貢献すると自然と株価が上昇。株価が $550 になると、ストックオプションの権利を行使して、株を$500 で購入できるのでその場で1 オプションあたり $50 の儲けが出るという仕組み。この $50 はどこから出ているのかというとオプションを発行した人、つまり Google ということになります。

従業員は、ストックオプションをもらったら株価を上げるために一生懸命働くので強いインセンティブになる一方、自分の力ではどうにもならない外的要因(例えば、一般的な景気、公定歩合、自然災害、上司のスキャンダルなど)で株価が上がらないリスクもあります。ストックオプションは通常有効期限付きなのでその期間に株価が上がらなければなんの役にも立たないただの紙切れ(Google の場合、ストックオプションの期間は 10 年)。また、ストックオプションは通常その権利を行使するかしないかの選択枠しかなく、他人に転売することはできません。今回の Google の TSO によってストックオプションを持った従業員がオプションを行使してキャピタルゲインを得る方法以外に、ストックオプションそのものを売って売却益を得るという方法が用意されたことになります。

前述の例を使うと、2 年後の株価が $600 になると予想している従業員には、ストックオプションを直ちに行使して $50 のキャピタルゲインをあげるか、2 年待って $100 ドル手にするかという選択があります。一方買い手となる金融機関が 2 年後の株価を $700 と予想していれば、$200 以下でストックオプションが手に入れば儲けが出る計算になるので、$100 ~ $200 の間で価格が着けば売り手買い手ともハッピーになるという仕組み。

このプログラムの優れている点は、

  • 従業員のストックオプションの価値が下がるというリスクを軽減
  • 株価がこれ以上上がらないのではないかという弱気な従業員に対してインセンティブを与えることが出来る
  • 従業員向けストックオプションは、株価が権利行使価格に達しなければ価値が $0 と思われがちだが、値段が付けば実際には権利を行使する前でも価値がある
  • 企業側も、より少ないストックオプション数で金額的には同じ効果が得られるのでオプションを乱発しないですむ

というメリットがある一方、

危惧する点としては

  • ストックオプションを全部行使してしまった人は、会社の業績に貢献しようとするインセンティブがなくなってしまうのではないか
  • 株価が低迷したときにはストックオプションも売ることが出来ず、従業員には二重のダメージ
  • TSO のメリットは株価が上昇し続ける事を前提にしているため、株価が下がり始めたら値崩れが激しい

でしょうか。

TSO による売買はオークションによる入札。オークションに参加できるのはオプションを持っている従業員と金融機関のみ。これまで、TSO による従業員向けストックオプションの売買をした前例にマイクロソフトがありますが、マイクロソフトの場合はストックオプションの売買は決められた価格による一回きりの売買で、オークション方式で随時販売を行える Google の今回の TSO とは若干異なります。マイクロソフトが実施した際には株価がこれ以上上がらないために TSO を実施したのではという憶測が流れていましたが、今回の Google の TSO 実施にはそういう噂が出てこないあたり会社の勢いを感じます。

うまくいけば『うちでもやろう』という企業も出てくるかもしれませんが、TSO をするとストックオプションを経費として計上する費用が高くなること、オークションによって取引を成立させるためには非常に高い企業ブランドが必要とされているので猫も杓子もとはいかないでしょう。

ちなみに、今日現在市場で取引されている有効期限 2 年、権利行使価格 $460 のオプション価格は $95.93 という高値。2 年後の株価がいくらかわからないことを考えると、1 オプション $95.93 で売れたらこれはすごいインセンティブですねー、確かに。

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