3月にリリースされた Adobe Apollo デベロッパー向けアルファ版で、一気に加速しそうなデスクトップリッチインターネットアプリケーションですが、Microsoft の WPF (Windows Presentation Foundation) 以外にも強豪ひしめくマーケットになりそうです。競合が出てくるとことはこのマーケットのポテンシャルがあることを意味しているのでポジティブなサインだと思いますが。

競合として今のところあげられるのは、Microsoft WPF、Firefox 3、Dekoh、Slingshot、Zimbra Desktop、Morfik。それぞれ簡単に特徴を。

Firefox 3
次期メジャーリリースの Firefox ではオフライン機能がサポートされる予定。Firefox のエンジニアの中には Google が雇用主になっている人もいるので、Google の各種アプリケーションのオフラインサポートが用意されるのは自然な流れではないでしょうか。WHATWG (Web Hypertext Application Technology) の仕様にあわせ、標準に準拠した実装になるみたいです。合わせて Operaもオフライン機能を実装する予定みたいです。アナウンスはされていませんが、Microsoftが乗り遅れるはずもなく当然 IE でも実装されるでしょう。いずれにしても登場までには時間を要し(Firefox 3 は 2007 年後半)、現在は計画の段階であるのでどの程度のインパクトのある競合になるのか明らかになるのはもうしばらく先。

参考文献 Firefox 3 のオフライン機能って何だ?

Dekoh (Beta)
開発元は、Pramati Technologies。実行環境は Java で実装され、開発言語は HTML + JavaScript というプラットフォーム。ソーシャルな機能が API で提供されているので、他のユーザと共有したり、コラボレーションするアプリケーションが比較的簡単に実装できるところはよく考えられていますが、Dekoh のプラットフォームを使用するにはDekoh Network Service というユーザのIDを一元管理するサーバを利用する必要があり、中央集権型 Web アプリケーションを色濃く残し、なんとなく流れに逆行しているような感じもします。デスクトップのランタイムエンジンには小型のウェブサーバーが入っていて、オンラインでもオフラインでも同じように動作する仕組みを提供しています。ビジネスモデルは不明。

Joyent Slingshot
Railアプリケーションが簡単にデスクトップアプリケーションとして移植できる、というのがうたい文句。セキュリティサンドボックスが実装されていないのでセキュリティリスクが他の競合に比べると非常に高いかも。しかも、昔の Macromedia セントラルのようにインフラを利用するために開発者・アプリケーション提供者からホスティング料(ライセンス料)を徴収するみたいです。

Zimbra Desktop
よくできているアプリケーションではありますが、Zimbra に特化したオフライン機能であり、開発者向けにAPIを公開しない限りはアプリケーションの開発・実行環境にはなり得ないのではないでしょうか?

Morfik
独自の開発言語で Ajax Web アプリケーションを生成する開発ツール。独自の開発言語で記述されたコードがJavaScriptに変換されるイメージみたいです。そこから発展しオフラインで動作するWebアプリケーションを生成できるようになるらしいです。デスクトップアプリケーションの実行環境はブラウザ。開発用IDEを販売し、できあがったアプリケーションの配布ライセンスは無料、という Flash 方式。ただし、開発者用IDEのライセンスは1シートあたり年間$5,000とお高め。

最初の大きなハードルは開発者をどれだけ囲い込むことができるか、ではないかと思っています。そうなると実行環境に魅力があったり、ラインタイムを採用するインセンティブがあったり、開発コストが低かったりしないといけないわけで、財務的体力のある Microsoft、Adobe は有利。そのほかのスタートアップも VC や大手企業とのアライアンスで対抗することも可能ですが、他の製品群とのシナジーに期待をしているMicrosoft、Adobe と違い、採算を取るものが一つしかない企業ではやはり厳しい戦いになるのではないでしょうか?開発者にインセンティブがあればマーケティングプラットフォームとしての利用でレベニューシェアという方法も考えられるかも。

Adobe の狙いとしては Adobe が囲い込んでいる開発者・デザイナーが既存のスキルを利用してデスクトップアプリケーションが開発できる環境を提供すること。そこから Flash や Flex などのツール、サーバ製品の拡販を狙うというシナリオ。ウェブアプリケーションにとって Java/.Net の敷居はやはり高い。それを何とか習得してもらうのではなく、簡単にその敷居を乗り越えられる踏み台を用意しようという戦略。

Microsoft は、『C# を習得すれば Web アプリケーションからデスクトップアプリケーションまですべて網羅できますよ』ですが、Adobe の場合は『Web アプリケーションが今日作れれば、明日はそれでデスクトップアプリケーションが作れますよ』という正反対のアプローチ。

ネットワークコンピューティングの歴史はメインフレーム+ダム端末の中央集約型ネットワークアプリケーションから始まり、PCの台頭によってクライアント・サーバモデルへと移行。インターネットの普及で Web1.0-2.0 といわれる Web アプリケーションサーバー+ブラウザを使ったメインフレーム+ダム端末モデルの中央集約型に戻りってきたところ。そう考えると、Apollo や WPF などの登場で サーバプロセスの一部をクライアントに移す Web アプリケーションとデスクトップアプリケーションの融合はクライアント・サーバモデルに復帰しているとも見ることができます。Web2.0 もシリコンバレーでは過剰投資気味。次の大きな波としてデスクトップリッチインターネットアプリケーションが席巻するのも時間の問題なのかもしれません。

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